今月の臨床 子宮体癌—理解のためのQ&A 33
若年性体癌
8.保存的治療が可能な症例の選択基準は
岡田 弘二
1
,
山本 宝
1
Hiroji Okada
1
,
Takara Yamamoto
1
1京都府立医科大学産婦人科学教室
pp.278-279
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904901
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若年性体癌に対する保存的治療の是非について
主に不妊,無排卵を基礎として発見される若年性子宮体(内膜)癌では,子宮内膜は周期性変化を示さず,閉経後と同様な状態にあると考えられ,これに長期間のアンバランスなホルモン作用(特にエストロゲン活性)が作用し,体癌が発生すると推察されている。発見した癌病巣は摘除するにあたり,たとえ30歳以下の女性であっても子宮摘出は止むを得ないことが多いが,これら若年患者の多くに共通している多嚢胞卵巣(PCO)合併の取り扱いである。すなわち,PCOを合併した体癌例の中にはPCOを適切に治療し,排卵を確立させ,無排卵等の周期を断ち切れば,体癌の退縮することも十分に考えられる。また,Stein-Leventhal症候群を合併した体癌はほとんど組織学的に高分化型腺癌である1)。Fechner and Kauf-man2)は27歳(未妊婦)のStein-Leventhal症候群を合併した高分化型腺癌に対し,内膜掻爬と卵巣楔状切除術のみを施行し,その後12年間再発のみられなかった症例を報告している。しかし21歳の症例に対しては,クロミフェン投与や卵巣楔状切除術により保存的治療を行っても病巣が残存したため,子宮摘出を行った結果,癌は子宮筋層へ浸潤していたと述べている。
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