症例
メトトレキサート単独投与による非観血的保存的治療が可能であった卵管間質部妊娠4症例
加藤 俊平
1,2
,
仙波 恵樹
2
,
甲斐 一華
2
,
花岡 美生
2
,
兒玉 尚志
2
S. Kato
1,2
,
S. Senba
2
,
I. Kai
2
,
M. Hanaoka
2
,
T. Kodama
2
1JA尾道総合病院産婦人科
2国立病院機構東広島医療センター産婦人科
pp.237-245
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001641
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卵管間質部妊娠は,異所性妊娠の2~4%と比較的稀な疾患である。腹腔鏡下手術による外科的治療の有効性が多く報告されているが,術後の妊娠時に子宮破裂のリスクや分娩方法の選定が必要になるなどの問題が生じる。今回われわれは,メトトレキサート(MTX)の全身投与による保存的治療が有効であった卵管間質部妊娠の4症例を経験した。平均年齢は30.8歳,治療前の平均血中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は15,162mIU/ml,1例に胎児心拍を認めた。MTXは50mg/m2で投与した。平均投与回数は2.5回で,hCG陰性化までの平均日数は113.8日であり,治療中に有害事象は認めなかった。卵管間質部妊娠のMTXによる保存的治療は子宮への損傷が少ないと考えられ,挙児希望のある症例には有用となる可能性がある。
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