今月の臨床 更年期・老年期医療のピットフォール
診断・治療におけるピットフォール
11.閉経後女性の上半身型体脂肪分布—内臓肥満
堂地 勉
1
1鹿児島大学医学部産婦人科学教室
pp.1373-1377
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904783
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はじめに
肥満が高血圧症,糖尿病,高脂血症,動脈硬化症などのさまざまな内分泌・代謝異常を伴いやすいことはよく知られている.しかし,肥満の程度とこれらの異常の発生頻度や重症度は必ずしも相関しない.肥満が体脂肪組織の過剰な蓄積であると定義すれば,その蓄積量(肥満度)よりも,むしろ蓄積部位の異常(体脂肪分布の異常)がさまざまな内分泌・代謝異常と関連して重要であることが明らかになりつつある.肥満と体脂肪分布異常は類似するが,両者は厳密には異なる.欧米では肥満をoverall adiposity,体脂肪分布をbodyfat distributionとして明確に区別している.
女性は加齢や閉経により体脂肪分布が上半身型に移行することが示されている.このような変化は,閉経によるエストロゲンの低下とは別に,閉経以降に起こるさまざまな内分泌・代謝異常の発生に関与している可能性がある.ここでは閉経後女性の体脂肪分布異常についてわれわれの知見を交えて概説する.欧米では,体脂肪分布の異常を上半身型体脂肪分布と呼ぶのが通例であることから,ここでは上半身型体脂肪分布に言葉を統一して話を進めていく.
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