今月の臨床 女性内科的アプローチ—循環器系を中心に
女性と循環器疾患
2.加齢や閉経の体脂肪分布に及ぼす影響
堂地 勉
1
1鹿児島大学医学部産科婦人科学教室
pp.40-43
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904519
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はじめに
肥満が高脂血症,高血圧症,糖尿病などの生活習慣病を伴いやすいことは良く知られている.しかし,肥満の程度とこれらの異常の発生頻度や重症度は必ずしも相関しない.肥満が脂肪組織の過剰な蓄積であるとすれば,その蓄積量よりもむしろ蓄積部位(体脂肪分布)がこれらの異常の発生と関連して重要な意義を有していることが明らかとなっている1).女性は加齢とともに体脂肪分布が上半身型へ移行することが示されている2).このような体脂肪分布の変化は,閉経に伴うエストロゲンの低下とは別に閉経以降に起こるさまざまの内分泌・代謝異常の発生に関与している可能性がある.
ここでは,加齢や閉経に伴う体脂肪分布の変化を婦人科的に観察して,それが脂質代謝などにどのような影響を及ぼしているかを概説する.
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