今月の臨床 更年期・老年期医療のピットフォール
診断・治療におけるピットフォール
12.閉経後女性における心血管イベント予防
佐久間 一郎
1
,
北畠 顕
1
1北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
pp.1378-1381
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904784
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はじめに
女性は男性より虚血性心疾患の発症が15〜20年遅い.これは,女性では正常な月経周期が保たれている間は,卵巣からエストロゲンが産生され.心血管系が保護されているからである.しかし.閉経後は卵巣からのエストロゲン生成が低下し,副腎などから生成される男性ホルモンが脂肪組織で変換酵素により転換される分だけとなり,血中エストロゲン濃度は同年齢の男性よりも低値となる.その結果,閉経後は急峻に心血管系疾患が増える.エストロゲンの血中濃度を閉経後もあるレベルに維持させる療法がホルモン補充療法(HRT)であり,心血管イベント予防に有効であるとされていたが,現在は再検討に入っている.
一方,虚血性心疾患発症に対する喫煙,高血圧や肥満などの冠危険因子の寄与に関し,女性では男性と比較してそれらの相対危険度が高い.したがって,閉経後女性における心血管イベント予防には,これら危険因子の除去が重要となる.
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