今月の臨床 頸管無力症と頸管縫縮術
頸管縫縮術の適応と問題点
2.円錐切除術後妊娠における適応と問題点
岩田 卓
1
,
塚崎 克己
1
,
久布白 兼行
1
,
野澤 志朗
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.858-861
発行日 2002年7月10日
Published Date 2002/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904678
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
子宮頸癌集団検診が普及したことによって,子宮頸癌のなかで上皮内癌・微小浸潤癌といった初期癌の占める割合が増し,また,前癌病変である異形成の症例も増加している.一方,近年女性の出産年齢の上昇傾向が指摘され,妊孕性温存を必要とする子宮頸癌患者が増加している.妊孕性温存を目的とした術式として,従来より高度異形成までの病変であればレーザー蒸散術が広く行われており,また,上皮内癌の場合にはレーザー円錐切除術が施行されてきた.われわれは間質内浸潤を認める微小浸潤扁平上皮癌のうち,間質浸潤が3mm以内であり縦軸方向の幅が7mm以内の症例,すなわち子宮頸癌Ial期の症例についても,妊孕性温存が必要な症例では円錐切除術による子宮温存療法を行っているが,レーザー円錐切除術の症例数は全体として増加傾向にある.これに伴って,術後の妊娠例をしばしば経験し,さらに今後とも増加するものと予想される.
しかし,妊娠中に円錐切除術を行った症例の妊娠予後の報告が多くされているのに比して,術後に妊娠した症例の妊娠予後に及ぼす影響の有無についての報告は多くない.これは,やはり追跡調査の困難さに起因しているものと考えられる.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.