今月の臨床 多胎妊娠管理—レベルアップのために
双胎間輸血症候群の診断と管理
7.重傷度の臨床評価と児娩出のタイミング
鈴木 真
1
1松岸レディスクリニック
pp.766-769
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904661
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はじめに
双胎間輸血症候群(twin-to-twin transfusionsyndrome:TTTS/feto-fetal transfusion syn—drome)は一絨毛膜性双胎の10〜15%に起こるとされる1).娩出された一絨毛膜性双胎の胎盤の検討では95〜100%に血管吻合が認められ2),一絨毛膜性双胎のほとんどで二児が一つの胎盤を共有している.また,胎盤に存在する吻合血管では血流が存在しているが,各方向の血流量が等量であるため相殺され均衡を保っている.しかし何らかの原因で胎盤吻合血管において血流量が一方に偏り,シャント血流量の不均衡が生じると双胎間輸血症候群が発症すると考えられる.
双胎間輸血症候群はBlicksteinの提唱した診断基準3)が最もよく知られているが,ヘモグロビン差>5g/dlや体重差>15%にあてはまらない症例が多く存在する4).最近では実際の臨床に即した血流動態の変化を基本としたtwin oligohy—dramnios-polyhydramnios sequence(TOPS)と称される供血児の羊水過少と受血児の羊水過多,つまり循環血漿量減少と循環血漿量増大として理解されている.
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