今月の臨床 産婦人科手術における合併症管理のすべて
IV 合併症への対応
8.イレウス
小森山 広幸
1
,
萩原 優
1
,
林 和彦
2
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院外科
2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科
pp.565-569
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904623
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はじめに
開腹手術を行うと,いかなる例でも癒着が生ずるが,腸管の狭窄や閉塞症状が発現しない限り問題とされない.腹部膨満や嘔吐,腹痛.排ガス排便の停止など,複合的な症状の発現状態を総括的にイレウス(腸閉塞)と呼称する.イレウスには種々の原因があり.腸管内容物の肛側への通過が障害された状態と定義されている1).産婦人科開腹手術では腸管へ直接手技が及ぶことは少ないものの,ときにイレウスを経験する.当院では過去5年間の帝王切開を含む産婦人科開腹手術1,405例中,外科医が管理したいわゆる術後イレウスは7例であった.産婦人科系術後のイレウスでは癒着による単純性イレウスであることが多く,保存的治療が奏効する.一方,腸管の血流障害を伴う絞扼性(複雑性)イレウスでは速やかな手術的治療が求められる.
本稿では,産婦人科系術後のイレウスの多数を占める癒着性イレウスと,その保存的治療法について述べるとともに,絞扼の診断や手術適応についても触れたい.
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