特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅲ.小腸・虫垂・大腸
イレウス
伊東 英輔
1
,
小澤 壯治
1
,
山崎 康
1
,
宇田 周司
1
,
蒲池 健一
1
,
林 勉
1
,
數野 暁人
1
,
三朝 博仁
1
,
千野 修
1
Eisuke ITO
1
1東海大学医学部消化器外科
pp.103-107
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104793
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はじめに
イレウスとは,腸管内腔の閉塞や腸管の運動障害などによって正常な腸管内容の肛門側方向への通過が障害された病的状態である.イレウスの原因は多岐にわたり,その原因によってイレウスの病態や治療は異なる.症状として,激烈な腹痛,嘔吐,排ガス・排便の停止を伴って発症し,緊急手術の要否を鑑別しなければならない急性腹症の1つである.急性腹症中に占めるイレウスの頻度は,急性虫垂炎に次いで多く,急性腹症手術例の約12%である1).2000年に報告されたイレウス全国集計によると,単純性イレウスが58.1%,絞扼性イレウスが10.6%,大腸癌を含めた腫瘍性イレウスが8.1%,腫瘍の転移・播種が7.2%と報告されている2).イレウス手術例の検討では,癒着性30.5%,腫瘍性20.5%,絞扼性14.9%,腫瘍の転移・播種11.2%であった.また,腹部手術施行例における癒着性イレウスの発症頻度は4.6%と報告されている3).
これらの頻度を念頭に置いて救急患者を診察することは,円滑な検査計画を立て,より短時間で確定診断に至るうえで重要である.また,イレウスの患者の身体診察の際に,鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアの有無を診察するなどの基本事項は当然おさえておくべきである.
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