今月の臨床 子宮外妊娠—新しい視点から
診断の要点
1.急性腹症における鑑別診断
竹田 省
1
1埼玉医科大学総合医療センター
pp.982-987
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904417
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はじめに
急性腹症は,急激な腹痛を訴え,緊急開腹手術を考慮しなければならない疾患で,産婦人科診療においてもしばしば遭遇するが,早急に鑑別診断して対応しないと,疾患によっては生命予後にもかかわる重篤な状態に陥る.迅速かつ的確な鑑別診断が最も大切であるが,産婦人科疾患のみならず泌尿器科疾患,外科疾患などにも精通する必要がある.鑑別診断のために患者を他科受診させた場合など,まかせっきりにするのではなく,他科での診察法,診断法などを日頃から積極的に学んでおく.
鋭敏な妊娠反応検査薬と経腟超音波断層検査により,妊娠時の急性腹症の鑑別は比較的容易にできるようになった.しかし,子宮外妊娠の母体死亡は依然“0”にはなっていない.また子宮,付属器などのpelvic inflammatory diseases(PID)を他科で漫然と薬物治療することもあり,その後の癒着や不妊原因として問題になる.このため内科医,外科医,産婦人科医は境界領域の疾患に理解,知識を持ち,相互に密に連絡をとりつつ診断,治療にあたらなければならない.本稿では,急性腹症の鑑別診断のポイントを中心に述べる.
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