今月の臨床 子宮外妊娠—新しい視点から
診断の要点
2.初期(中絶前)診断の要点
松浦 講平
1
,
岡村 均
1
1熊本大学医学部産科婦人科学教室
pp.988-991
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904418
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はじめに
子宮外妊娠(外妊)は全妊娠の1%弱の頻度でみられるが,挙児を希望する患者が少なくない.着床部位は90%以上が卵管であり,本邦でも腹腔鏡下に手術を行う施設が多くなってきた現状において,初期診断すなわち卵管漿膜の破裂前に診断することは卵管温存手術が容易に行える点から重要である.卵管間質部や頸管の妊娠例における初期診断も子宮温存が期待できるし,緊急手術や大量出血を回避できる点からも初期管理に重点をおくべきである.
外妊を念頭に入れた妊娠初期の管理の重要性はすべての妊娠例を対象とすべきであるが,一般に不妊治療後の妊娠では外妊の頻度が高いことを認識しておく必要がある.特に体外受精・胚移植に代表される補助生殖医療(ART)施行例では,本邦でも3%前後の外妊がみられている1).外妊の反復率は約10%の頻度でみられ,骨盤内感染症(PID)の後遺症である付属器周囲の癒着例では反復の頻度が特に高い.このような現病歴あるいは既往歴を有する例では,外妊発生のハイリスク群とした妊娠の初期管理が要求される.本稿では初期(中絶前)診断の要点を概説する(表1).
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