Japanese
English
外科の焦点
急性腹症の計量診断
Stochastic differential diagnosis of acute abdomen
四方 淳一
1,2
,
黒田 慧
1,2
Jun-ichi SHIKATA
1,2
,
Akira KURHODA
1,2
1東京都立墨東病院外科
2東京大学
pp.1483-1489
発行日 1965年11月20日
Published Date 1965/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203801
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Ⅰ.計量診断の必要性について
急性腹症の診断は簡便な手段で,迅速に行なわなければならないという制約があるために時間のかかる複雑な検査は不適当である.したがつて問診とか理学的検査とかに比重がおかれ,これに加えて補助診断法としてのX線検査と臨床検査が利用されている現状である.このうちX線検査については単純撮影のみによて診断が確定する場合がある.すなわち,胃・十二指腸穿孔は腹腔内遊離空気像によつて,またS状結腸捻転は特有の巨大な結腸ガス像で診断される.また,臨床検査の中で疾患特異性の比較的高いものの一つは血清または尿アミラーゼ値であるが,それが異常高値を示せげ急性膵炎と診断される.
しかし,X線所見からはつきりとした診断が得られない場合や,血清または尿アミラーゼ値の上昇が中等度以下の場合のように,疾患特異の情報が得られない時には,急性腹症の診断は問診や理学的所見を主体として行なわれ,X線所見や臨床検査は文字通り補助的な診断法となる.
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