今月の臨床 排卵誘発の問題点—新しい工夫と対策
排卵誘発
D.卵巣への外科的治療
1.多嚢胞性卵巣(PCOS)に対する腹腔鏡下レーザー療法
森田 峰人
1
,
中熊 正仁
1
,
平川 舜
1
1東邦大学医学部第1産婦人科
pp.800-802
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904379
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はじめに
多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn—drome:PCOS)は,不妊症診療上でしばしば遭遇する疾患であり,その病態としては月経異常,多毛,肥満を呈し,血中LH高値と多数の小嚢胞を含む卵巣形態が特徴である.代表的な排卵障害疾患であり,主訴の多くは排卵障害に基づく不妊である.
本疾患の排卵誘発法は,クロミフェン(clomi—phene citrate:CC)による卵巣刺激が第一選択となる.CC療法無効症例に対しては,humanmenopausal gonadotropin(hMG)が適応となる.CCによる排卵誘発の効果は67〜76%で,妊娠率は33〜93%とややばらつきがあり,流産率が40%と高率である.hMGによる排卵誘発効果は75〜95%と高率であるが,妊娠率は平均28%(21〜65%)と低率で,流産率や多胎妊娠率が高いだけでなく,副作用としての卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症率が高く,PCOSの薬物療法には限界があることを示している(表1)1).
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