今月の臨床 婦人科医のための乳癌検診
治療の現状
4.乳癌のホルモン療法の基本
佐野 宗明
1
1新潟県立がんセンター外科
pp.538-543
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904324
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はじめに
乳癌の薬物治療には化学療法とホルモン療法があるが,化学療法がきわめてよく奏効するためホルモン療法はその脇役に位置してきた.ホルモン療法はBeatsonの卵巣摘出術(卵摘)に始まり,その後,抗エストロゲン剤tamoxifen(TAM)の登場以来めざましい発展をとげてきた.また,TAMと同時期に導入されたホルモン感受性の概念から,ヨーロッパを中心に次々に新規ホルモン剤が開発されてきた.化学療法を主体とする米国とホルモン療法を主張するヨーロッパの研究者が1999年のAmerican Society of Clinical On—cology(ASCO)において歩み寄り,乳癌の薬物療法が体系づけられてきた.
多くの大規模な臨床試験の結果から化学療法とホルモン療法の有効性はほぼ同等とされている1).むしろホルモン感受性があり,良好な予後を期待できる乳癌に対しては初回にホルモン療法を選択することが推奨されるようになった(表1).乳癌のホルモン療法はホルモン感受性と同時に閉経前後という治療予測因子を基に計画され,現在その治療成績は化学療法に勝るとも劣らないといわれている(図1).
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