今月の臨床 婦人科医のための乳癌検診
その他の診断法
4.腫瘍マーカーの使い方
園尾 博司
1
,
山本 滋
1
,
山本 裕
1
1川崎医科大学乳腺甲状腺外科
pp.493-501
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904317
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はじめに
近年,多くの乳癌の腫瘍マーカー(以下,マーカー)が臨床に取り入れられている.従来,マーカーとは腫瘍が産生し,主として血中で検出される物質で腫瘍診断に役立つもの(狭義のマーカー)を指すが,現在では腫瘍の診断のみならず予後や薬剤感受性予知因子などに役立つ生体産物が加わっている(広義のマーカー).狭義の乳癌マーカーのうち,わが国ではcarcinoembryonic antigen(CEA),tissue polypeptide antigen(TPA),CA 15-3(CA),BCA 225(BCA),NCC—ST−439(NCC)の5つが保険適用となっている.
本稿では,これらのマーカーのわが国における臨床成績について述べるとともに,とくにCEA,CAについてはASCO(American Society of Clinical Oncology)のガイドライン1〜3)とEGTM(European Group on Tumor Markers)の勧告4)が報告されているので,これを加味してマーカーの使用法についても述べる.また,広義のマーカーのうち予後因子および治療効果予知因子として最近注目されている血中c-erbB−2蛋白(ErbB−2)についても概説する.
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