今月の臨床 婦人科医のための乳癌検診
細胞診
1.どのような症例に細胞診を行うか
辛 栄成
1
1国立大阪病院外科
pp.455-459
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904311
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はじめに
本邦における乳癌の罹患率ならびに死亡率は近年徐々に上昇しており,やがて女性の全悪性腫瘍のなかで最も頻度の高い悪性疾患になろうかという厄介な傾向にある.このような傾向に歯止めをかける確実で有効な予防法は確立されていない.乳癌も他の悪性腫瘍と同様に,完治には今なお早期発見,早期切除が最良で,最も有効な治療法であることに変わりはない.
乳癌の確定診断は,病巣から採取した試料内に癌細胞ないし癌組織を確認することによってなされる.癌細胞や癌組織を患者からの採取材料内にできるだけ早く確認することが,とりもなおさず早期診断につながる.乳房は表在臓器であり試料採取は容易で,確診を期待できる優れた診断方法である.穿刺吸引細胞診は吸引ピストルがあれば特別な器具類は必要なく,術者ひとりでも施行可能で,局所麻酔の必要ない低侵襲で,しかも重篤な合併症もほとんどない優れた検査法である.
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