今月の臨床 婦人科医のための乳癌検診
視触診
1.自己検診の指導法
上村 浩一
1
,
苛原 稔
1
,
鎌田 正晴
1
,
青野 敏博
1
1徳島大学医学部産科婦人科
pp.374-377
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904298
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はじめに
近年,わが国において乳癌の罹患率と死亡率は増加しつつある1).1997年の乳癌死亡数は全国で8,393人であり,女性の全癌死亡数の7.7%を占めている2).わが国の女性の主要部位の癌の年齢調整死亡率の年次推移をみると,乳癌死亡率は増加を続け,1995年の時点で第4位である3).乳癌の罹患数も年々増加しており,最近は1年間に約2万数千人で,部位別では女性の癌の中で第2位であり,21世紀には女性の癌の第1位になるであろうと推定されている.乳癌の患者数は40歳代が最も多いが,近年は50〜60歳代の閉経後の年齢層の増加が目立っている.その原因の一つとして,食生活の欧米化に伴う脂肪摂取の増加による肥満が考えられている.
一方,乳癌は罹患数が多いわりに死亡数の比率が少なく,治癒する確率の高い癌と言える.乳癌の検査や治療が進歩した今日,早期に発見し治療すれば,ほぼ100%治癒することが可能である.それゆえに,検診の意義が大きい癌のひとつである.検診の形態としては,医師による集団検診や人間ドック検診などの施設検診と自分自身で行う自己検診(breast self-examination)がある.
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