調査報告
岡山県における子宮癌検診法の検討—自己採取法と医師検診法の比較
角南 重夫
1
Shigeo SUNAMI
1
1川崎医科大学公衆衛生学
pp.320-323
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206700
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子宮癌の集団検診には医師による検診(医師検診法)と自己採取によるもの(自己採取法)があるが,後者は検診会場へ行く必要も,診察を受ける必要もないため,一般に受け入れられやすく,現在でも地域によっては多数行われている1〜3).ところが,この場合擦過スメア法に劣らないとの報告4〜6)もあるが,器具の使用に不慣れな場合や,器具そのものによっても検診成績にかなりの差がみられ,必ずしも十分でないとの報告7〜9)もある.このような中で,岡山県では医師検診法のほか,自己採取法が昭和42年度から行われ2),昭和55年度ではこれが子宮癌集団検診の約14%10)を占めている.しかもこの場合の癌発見率は医師検診法によるものより低い傾向10)にある.これには検診対象,検診精度などの差が関係している可能性があるが,この面の検討はあまり見られない.現在子宮癌は初期であれば100%治癒11)するとされているので,この原因が検診精度によるのであれば問題であろう.そこでこの原因を明らかにするため,昭和50年度から昭和55年度にわたって岡山県で行われた自己採取法および医師検診法について,対象者の年齢,地域,訂正罹患率,訂正死亡率などの面から比較検討した.
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