今月の臨床 腹腔鏡下手術—知っておくべき最新情報
手技の工夫,注意点
4.妊娠中の腹腔鏡下手術
杉並 洋
1
1国立京都病院診療部(産婦人科)
pp.270-273
発行日 2001年3月10日
Published Date 2001/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904279
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以前は,妊娠中に腹腔鏡下手術を行うことは禁忌であるとされてきた.その主たる理由は炭酸ガス気腹が妊婦および胎児に及ぼす影響に関する危惧である.炭酸ガス気腹そのものにより,あるいは気腹に伴った腹腔内圧の上昇は,下半身からの静脈血還流量の減少,心拍出量および子宮循環血液量の減少,そして母体および胎児のアシドーシスをもたらすのではないかと懸念されてきた.さらに,これは腹腔鏡下手術に限ったものではないが,妊娠中に行う外科的治療の際には,用いる麻酔薬による胎児への影響も懸念されてきた.
しかしながら,よく知られているように腹腔鏡下手術は開腹手術に比較して低侵襲性であり多くのメリットを有している.この点をふまえて,妊婦に対しても腹腔鏡下手術が行われるようになり,数多くの症例が蓄積され,報告されてきている.それらの多くは,妊婦においても非妊婦におけるのと同様に腹腔鏡下手術が有用であると結論づけている1〜11).
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