症例
先天性アンチトロンビンIII欠乏症合併妊娠の1例
野村 祐久
1
,
伊藤 誠
1
,
西迫 潤
1
,
杉浦 智子
1
,
松原 英孝
1
,
千原 啓
1
,
高田 亨
2
,
石井 シゲ子
3
1聖霊病院産婦人科
2聖霊病院内科
3石井産婦人科
pp.208-210
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904266
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筆者らは,辺縁静脈洞破裂による出血が契機となりAT-III欠乏症が診断された症例とその周産期管理を経験したので報告する.
症例は,32歳2経妊0経産で,妊娠27週3日に妊娠中毒症,子宮内胎児発育遅延,性器大量出血のために当院に母体搬送された.入院時AT-III活性値33.0%と異常値を認めたため,メシル酸ファモスタット,AT-III製剤を投与した.その後,妊娠中毒症が増悪したため妊娠30週4日帝王切開術を行ったが術中,術後に著変なく術後18日目に,児もNICUで順調に経過し日齢81日で無事退院した.本症例はAT-III活性値33.0%,蛋白量16.4mg/dlの先天性AT-III欠乏症タイプIと思われ,児も新生児期には活性値35.0%で本症を疑ったが,その後の検査で否定された.
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