症例
メソトレキセート(MTX)投与により保存的に治療し得た卵管間質部妊娠の1例
伊藤 誠
1
,
杉浦 智子
1
,
永田 文隆
1
,
松原 英孝
1
,
野村 祐久
1
,
千原 啓
1
1聖霊病院産婦人科
pp.1095-1098
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903752
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卵管間質部妊娠は子宮外妊娠の2〜5%とされる稀な疾患で,その治療法は開腹による子宮卵管角部楔状切除術が原則とされているが,今回筆者らは,未破裂卵管間質部妊娠に対してメソトレキセート(MTX)の局注と全身投与で保存的に治療し得た症例を経験したので報告する.
症例は38歳1回経妊1回経産婦で,無月経9週3日に下腹部痛と血性帯下を主訴に受診した.経腟超音波にて左卵管角部に胎嚢様エコーを認めたため間質部妊娠を強く疑った.まず子宮内容清掃術を行い絨毛の存在しないことを確認し,続けて腹腔鏡で左卵管間質部妊娠と診断し,MTX10mg局注を行った.術後6日目に尿中hCG値の再上昇を認めたため,ロイコボリン併用でMTX300mgの全身投与を追加した.尿中hCG値が検出感度以下となった後second look laparoscopyを行い,両側卵管の通過性を確認した.術後約9か月で妊娠成立をみたが,子宮内胎芽死亡となった.
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