今月の臨床 母子感染—最新の管理指針を考える
ウイルスの母子感染とその管理
1.風疹
種村 光代
1
1名古屋市立大学医学部産科婦人科学教室
pp.1271-1273
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904175
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はじめに
風疹ウイルス1,2)は,単鎖でプラスセンスの全長9757ヌクレオチドのRNAを遺伝子として持つ,小型のエンベロープウイルスである.三日ばしかとも呼ばれる小児期の代表的な感染症であるが,最近では,むしろ妊婦の感染による先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:以下,CRS)の方が注目されている.
日本では,1977年より女子中学生への風疹ワクチン接種,1989年からはMMRワクチン接種が始まり,以前のような大流行は認められなくなったが,1993年にはMMRワクチンは中止となっている.厚生省サーベイランスの累積報告数では,1997年の風疹患者は,前回の1992年の流行期よりはるかに減少しており,1993年のMMRワクチン中止の影響はまだ明らかではない3).さらに1994年には,予防接種法の改正により単味の風疹ワクチンを生後12か月以上の幼児に接種し,経過措置としては,1999年まで小学校1年生と,さらにこれまで行ってきた女子中学生の接種を2003年まで男子も含め接種を行うこととなった.しかし,各地方自治体ごとのワクチン接種方法の違いにより接種率にばらつきがあるため,局地的な流行はまだ消失していない.
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