連載 OBSTETRIC NEWS
妊娠糖尿病スクリーニングの候補者—米国糖尿病学会の勧告の問題点
武久 徹
pp.291
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903966
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米国産婦人科学会(ACOG)は,妊娠糖尿病(GDM)スクリーニングの施行対象は全例でも選択的でもいずれでもよいという指針を示している.選択的スクリーニングの対象は,糖尿病家族歴,巨大児または奇形児出産歴,死産歴,高血圧合併,尿糖陽性,30歳以上の妊婦,前回GDM歴のある場合である(AAP & ACOG Guidelines forPerinatal Care.4th Ed.p 77,1997).また,米国糖尿病学会(ADA)も1997年3月に,東または南アジア人を含めた妊娠中の耐糖能異常が発症しやすい人種は全例スクリーニングまたは100gGTTまたは75g GTTの診断的テスト[少なくとも3日間の普通食(炭水化物≧150g/日)と運動後,8時間以上14時間以内の空腹で朝,糖負荷試験を行う.検査を行っている間は,席に座ったままで喫煙を禁じる]が必要であるが,ローリスク妊婦(表1)であれば,ACOGと同様に全例または選択的スクリーニングのいずれでもよいという勧告を示した(Diabetes Care 21:B161,1998).
しかし,ローリスク妊婦にはGDMスクリーニングを行う必要はないというADAの新勧告は実用的ではないとオーストラリアのMoses RGらは反論している.
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