連載 OBSTETRIC NEWS
妊娠糖尿病—米国糖尿病学会の新しい診断基準の問題点
武久 徹
pp.194-195
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903945
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妊娠中に耐糖能の低下を示す妊娠糖尿病(GDM)を診断するために,妊婦の危険因子を考慮して,スクリーニング候補者が選別されてきた.しかし,対象妊婦(とくに人種)によって,GDM妊婦の約半数はとくに危険因子を持っていないため,危険因子に基づくスクリーニングの方法では,かなりのGDM妊婦が診断できないことは明らかである(OG 73:557,1989).したがって,妊婦全員にGDMスクリーニングを行うべきだという意見がある.しかし,GDMスクリーニングを行うことの利点は証明されていなく(表1)(AJOG 180:S36),スクリーニングの対象に関してもさらに研究が必要である(ACOG Tech Bull No.200,December 1994).
次に,GDMスクリーニングの方法やGDMの診断に関しても異論がある.スクリーニングは感度(GDM妊婦がスクリーニング陽性となる率)と特異度(GDMがないことを正しく判定できる率)が高い検査が望ましい.北米で広く行われている50gブドウ糖投与試験(glucose challenge test)に関し,Rustら(ミシシッピー大学)も,50 g糖投与試験がGDMスクリーニングとして感度と特異度が高い試験であることを報告している(表2)(J Perinatol 18:49,1998).
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