症例
保存的手術とMEA療法により寛解となし得た卵巣絨毛癌の1例
塩見 ひろ美
1
,
井川 佐紀
1
,
木村 光宏
1
,
高橋 久寿
1
,
日野 明子
2
1JA徳島厚生連麻植協同病院産婦人科
2徳島大学医学部第一病理学
pp.203-207
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903947
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卵巣絨毛癌は比較的まれである.今回われわれは右卵巣原発の絨毛癌の1例を経験したので報告する.症例は21歳の大学生で,下腹部腫瘤のため近医より紹介され初診した.下腹部全体が卵巣由来の腫瘍によって膨隆し,圧痛がみられた.尿中妊娠反応が陰性であったため,術前には絨毛性疾患を疑えないまま開腹術を施行した.右卵巣由来の赤褐色で非常に軟らかい腫瘍を認め,子宮漿膜面や広間膜に浸潤がみられた.妊孕性温存のため右付属器切除術にとどめ,術後病理組織診断は卵巣絨毛癌(純粋型)であった.術後胸部CTで両側肺野に転移巣を認めたため,MEA療法(MTX,etoposide,Act-D併用)を行った.4コース終了後にhCG—β(CTP)(EIA)値は陰性化し細胞効果も陰性となり,さらに4コース追加し退院した.退院後約1年2か月現在,再発を認めず,正常卵巣周期も回復している.本症例のMRI所見は卵巣絨毛癌として初めての報告であり,今後の診断の参考となるだろう.
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