今月の臨床 胎盤異常と臨床
妊娠後期の胎盤異常
5.母児間輸血症候群
中村 幸夫
1
,
松原 徹
2
1国立弘前病院産婦人科
2国立弘前病院小児科
pp.44-47
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903891
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俗に“血のつながった親子”という言い方をするが,母体と胎児の間には胎盤という隔壁があるため血液の自由な交通はない,しかし,胎盤に傷害が起こると少量の血液が移行することもあり,これを母児間輸血症候群(feto-maternal transfu—sion syndrome:FMTS)あるいは経胎盤出血(trans-placental hemorrhage:TPH)という.
本来,隔離されているはずの胎児血液が母体循環へ入り込む,いわゆる経胎盤出血の概念を唱えたのは,1905年のDienst1)が最初であろう.彼は,母児間に血液型不適合がある場合に,母体循環へ入り込んだ胎児血液が原因となり,子癇が発症すると考えていた.
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