今月の臨床 胎盤異常と臨床
妊娠後期の胎盤異常
4.癒着胎盤の分娩前診断
伊藤 隆志
1
,
片桐 千恵子
1
,
長田 直樹
2
,
高橋 弘幸
2
,
池野 慎治
2
1博愛病院産婦人科
2鳥取大学医学部産科婦人科
pp.40-43
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903890
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癒着胎盤(広義)とは胎盤が異常に強く子宮壁に付着している状態をいう.床脱落膜が部分的あるいは全体的に欠損し,胎盤絨毛が子宮筋層に付着するものを癒着胎盤(placenta accreta),子宮筋層に浸潤するものを嵌入胎盤(placenta increta),子宮筋層を穿通するものを穿通胎盤(placentapercreta)という.嵌入胎盤,穿通胎盤を含む広義の癒着胎盤の頻度は分娩7,000例に1例とされ,前置胎盤例,とくに帝王切開の既往症例では頻度が上昇するとされている.癒着胎盤症例では分娩のとき,胎盤剥離時の大出血による予後不良例もまれではない.とくに穿通胎盤では周産期死亡率は9%,母体死亡率も7%に達するとされる1).したがって適切な治療ができるように十分な準備を整えるためには術前の的確な診断がきわめて重要である.
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