今月の臨床 不正性器出血—原因と対応
ホルモン異常
2.性成熟期の出血 1)機能性子宮出血
山辺 晋吾
1
,
丸尾 猛
1
1神戸大学医学部産科婦人科
pp.1356-1359
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903819
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機能性子宮出血(dysfunctional uterine bleed—ing)とは,器質的疾患を伴わない月経以外の子宮からの不正出血をいう.正常月経周期では子宮内膜はエストロゲンとプロゲスチンを中心とした性ステロイドホルモンの影響下に増殖・分化,剥脱・修復を繰り返している.適切な期間,適切な量のエストロゲンとプロゲスチンで刺激された子宮内膜は機能的に安定であり,月経は,エストロゲンとプロゲスチンの消退に引き続き,安定な子宮内膜の機能層の全層が子宮腔全域にわたって剥脱することにより起こる.子宮内膜血管には血栓形成能力があり,また,子宮内膜がプロスタグランジン産生亢進と分泌による子宮収縮の惹起能力があるために,月経は一定期間で止血される.
一方,機能性子宮出血は,卵巣性や外因性の性ステロイドホルモンの過不足により起こり,その病態からエストロゲン破綻性出血,エストロゲン消退性出血とプロゲスチン破綻性出血の3種類に分類される.
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