症例
子宮鏡が術前診断に有用であった子宮内膜粘液性腺癌の1例
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
塚本 健一
3
,
佐藤 太一
3
,
三上 晴克
3
,
渡辺 佳明
4
,
田中 伸哉
4
,
藤田 美莉
4
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
3新日鐵室蘭総合病院検査科
4北海道大学医学部第2病理
pp.865-870
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903700
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
子宮鏡が術前診断に有用であった子宮内膜粘液性腺癌の1例を経験した.症例は81歳(閉経46歳),0妊0産で不正性器出血を主訴として1997(平成9)年9月30日,当院を初診した.内膜細胞診,生検では類内膜腺癌G1と考えられ,MRIでは頸部腺癌の体部浸潤も完全には否定できなかった.子宮鏡検査では多量の粘液が存在し視界不良であったが,全面に厚い粘液層で覆われた悪性と思われる結節状隆起性病変を認め,特徴的な所見であった.また,頸管が正常所見であることより内膜由来の粘液性腺癌が考えられた.同年11月26日,腹式子宮全摘術.両側付属器摘出術,腹腔洗浄細胞診を施行した.病理組織検査の結果は筋層浸潤1/2以内で,粘液産生細胞は全癌細胞の90%以上を占めており,子宮内膜粘液性腺癌と診断した.子宮鏡は子宮内膜粘液性腺癌の組織型推定や,病巣を直視下にできるため頸部腺癌との鑑別に役だち,子宮内膜粘液性腺癌の術前診断に有用であると考えられた.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.