今月の臨床 卵巣がんと闘うために
治療
3.薬物療法 2)Dose Intensitive Chemotherapy
鈴木 暸
1
1国立大阪病院産婦人科
pp.828-830
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903689
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シスプラチン(CDDP)などの白金製材を中心とする多剤併用化学療法の導入により,卵巣癌の治療は大きな進歩を遂げた.しかし,現在の標準的な治療法であるCAPあるいはCP療法は初期治療においては約8割の患者で有効ではあるが,長期予後の改善には結びついていないことが明らかとなりつつある.化学療法が長期予後の改善をもたらさない理由の一つに薬剤耐性の出現があり,そのメカニズムの多くが投与量と関係していることから,dose intensity(DI)を高めることによりそれを克服しようという試みがなされてきた.卵巣癌についてはLevinら1,2)が後方視的な分析により,白金製剤のDIが高いほど奏効率,生存率が高いことを報告してから,Kayeら3),寺島ら4)も同様の成績を報告している.一方,抗癌剤の投与量を増加すれば副作用が増強することは自明であり,最近では骨髄抑制に対する対策として末梢血幹細胞移植(PBSCT)を併用する大量化学療法(HDC)が試みられている.本稿では卵巣癌のHDCと副作用対策としてのPBSCTについて述べる.
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