症例
卵管膨大部に発生した部分胞状奇胎の1例
岩政 仁
1
,
大場 隆
1
,
大竹 秀幸
1
,
片渕 秀隆
1
,
田中 信幸
1
,
松浦 講平
1
,
岡村 均
1
1熊本大学医学部産婦人科
pp.753-756
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903670
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卵管に発生する胞状奇胎の報告は非常にまれである.今回,卵管膨大部に発生した部分胞状奇胎を経験したので報告する.症例は23歳の未経妊婦人で,無月経および不正性器出血を主訴に来院した.尿中hCGは8,000IU/lを示したが経腟超音波所見にて子宮内にGSを認めなかった.子宮外妊娠の疑いで妊娠7週2日に腹腔鏡検査を施行し,左側卵管膨大部に拇指頭大の腫大を認めた.左卵管膨大部妊娠未破裂の診断で開腹術を施行し,卵管温存術を施行した.摘出した卵管内容は肉眼的に絨毛組織を認め,一部は直径2mm以上に腫大していた.組織病理学的所見では正常の絨毛組織とともに円形あるいは不整に腫大した絨毛の内部にcentral cisternがみられた.トロホブラストの局所的な増殖が確認され,一部にscallopingも認められた.最終診断は左卵管膨大部に発生した部分胞状奇胎とした.術後のhCGの低下は奇胎娩出後の経過順調型を示した.
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