今月の臨床 PCO症候群を斬る
治療
2.不妊の治療 5)PCO症候群の腹腔鏡下手術
田坂 慶一
1
,
坂田 正博
2
,
村田 雄二
2
1大阪府済生会中津病院産婦人科
2大阪大学医学部産婦人科
pp.710-712
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903656
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Stein1)とLeventhalは,1935年に腫大した多嚢胞性卵巣(PCO)と無月経,肥満,多毛の関係を報告し,腫大した卵巣の縮小と嚢胞の処理を目的に両側卵巣の楔状切除を行った.ところが驚くべきことに多くの症例で月経が発来し,排卵が誘起され,妊娠例が得られた.そのメカニズムの解明はともかく,両側卵巣の楔状切除が本疾患の唯一の治療法として確立された.その後,本疾患の治療は,クロミフェン,ゴナドトロピン療法などの薬物療法が主体となったが,1983年ころより腹腔鏡下でPCOSに外科的治療を行う試みが再び始まり,本治療はクロミフェン無効PCOS患者の治療選択として導入された.その方法は,組織採取,電気メスによる電気焼灼,あるいはレーザーを用いた蒸散などで2),その効果は卵巣の楔状切除に匹敵し,なおかつ手術侵襲も少ないので治療法として再び脚光を浴びるに至っている.本稿では,この腹腔鏡下によるPCOS治療の現況について概説する.
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