今月の臨床 PCO症候群を斬る
病因・病態
3.卵巣の組織像とステロイドホルモン分泌
藤原 浩
1
1京都大学大学院医学研究科婦人科産科
pp.681-683
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903648
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1935年にSteinとLeventhalが両側卵巣の腫大を呈し,臨床的には月経異常,男性化多毛,肥満を伴う病態,いわゆるStein-Leventhal症候群を報告した.卵巣は,白膜の肥厚化および多嚢胞化の特徴を有し,楔状切除が排卵の回復に有効であることが示された.その後,男性化と肥満の症状を示さず,卵巣の多嚢胞性変化と排卵障害を呈する患者の存在が知られるようになり,多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)と呼ばれるようになった.その後の内分泌学の進歩によりPCOSの特徴として高LH血症,LH/FSH比の上昇,高アンドロゲン血症などが明らかとなり,さらには副腎性アンドロゲンやインスリン抵抗性を示す症例が存在することが示されてきた.現在のところ卵巣局所ではLHの過剰刺激による内莢膜細胞でのアンドロゲン分泌亢進がこの症候群に共通した病態でないかとの推測がなされている.
本稿ではPCOSの卵巣における組織像と推定されるステロイドホルモン分泌動態について概説する.
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