今月の臨床 PCO症候群を斬る
病因・病態
4.副腎皮質の関与
近藤 芳仁
1
,
植村 次雄
1
1横浜市立大学医学部産婦人科
pp.684-687
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903649
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多嚢胞性卵巣症候群(PCO症候群)における病因はいまだ不明であるが,ゴナドトロピンの分泌異常1,2),高アンドロゲン血症をはじめとする副腎の機能異常,インスリン抵抗性3)などいくつかの病因がさまざまな研究により明らかになりつつある.PCO症候群症例におけるアンドロゲン産生亢進を伴う副腎の機能異常はこれまで諸家により報告されてきた4).Yen5)は,PCO症候群の症状の始まりが,思春期に起こる副腎からの一過性のアンドロゲン過剰分泌adrenarcheaと時期を同じくすることより,adrenarcheaの異常をPCO症候群の成因としている.
また,クッシング症候群や先天性副腎過形成症候群などの副腎疾患において,卵巣における多嚢胞性パターンがみられ,男性化,肥満などの臨床症状を伴うことが多いとされている.さらに,デキサメサゾン(DXM)などの副腎皮質ホルモンにより排卵誘発が可能であることより6),PCO症候群の病態に副腎が関与していることは明らかである.Ayers7)は1982年において副腎におけるアンドロゲン産生亢進が排卵障害をもたらす機序と副腎におけるアンドロゲンが産生亢進する原因について図のように仮定した(図1).そこで,副腎皮質のみならず視床下部—下垂体—副腎系の機能異常としての観点から,PCO症候群を概説していく.
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