今月の臨床 PCO症候群を斬る
病因・病態
2.視床下部・下垂体系の異常
田原 隆三
1
,
藤間 芳郎
1
,
岩崎 信爾
1
,
矢内原 巧
1
1昭和大学医学部産科婦人科
pp.678-680
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903647
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多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn—drome:PCOS)の概念は,1935年にStein—Leventhal syndromeとしてはじめて報告されてからである1).当初は卵巣の白膜肥厚を伴う嚢胞性腫大と,無月経,不妊,多毛,肥満などの臨床症状から診断された.さらに卵巣の楔状切除によって妊孕性が回復することにより,Stein—Leventhal syndromeは卵巣自体の異常ではないかと考えられた.しかしながら,内分泌学,診断技術,治療法などの進歩に伴い,PCOSに対する概念は大きく変化し混乱をきたしてきた.また本症候群は病因が多元的であり,症状の程度も正常に近いものから,Stein-Leventhal syndromeに近い極端な症例まで連続的に分布していることも本症候群に対する理解に混乱をきたしている一因といえる.
PCOSは従来より視床下部—下垂体—卵巣系の異常と考えられてきたが,それ以外に副腎系の異常,糖代謝異常が共存することも指摘されている.このため,単に排卵障害の原因疾患としてみるのではなく,全身的管理を必要とする疾患として再認識する必要がある.
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