症例
皮膚筋炎合併卵巣癌に対するneoadjuvant chemotherapyの経験
佐藤 賢一郎
1
,
塚本 健一
2
,
佐藤 太一
2
,
水内 英充
3
,
藤田 美莉
4
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2新日鐵室蘭総合病院臨床検査科
3みずうち産科婦人科
4北海道大学医学部第2病理学教室
pp.335-339
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903584
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今回,neoadjuvant chemotherapy(CAP療法)を施行した皮膚筋炎合併進行卵巣癌の1例を経験した.症例は62歳,主婦,4経妊3経産,閉経45歳.内科にて皮膚筋炎を診断され,悪性腫瘍のスクリーニングの目的で1996年(平成8年)12月3日当科を紹介されたところ,卵巣癌が診断された.初回手術困難と考えられ,子宮浸潤により内膜組織診で組織型も判明しているため,neoadjuvantchemotherapyを施行した.1997年(平成9年)3月19日に手術施行後,CAP療法3コース目を施行したところで,家庭内の諸事情により本人,家族がこれ以上の治療を拒否,最終的に癌再発により同年8月24日死亡した.本症例の経験より,皮膚筋炎合併症例の化学療法に際しては,化学療法後に一過性の皮膚筋炎症状の増悪が認められるものの施行不能なほどではなく,neoadjuvant chemother—apy→down staging→debulking surgeryというmodalityも選択し得ると考えられた.
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