原著
上皮性卵巣腫瘍におけるセリンプロテアーゼ,hepsinおよびSCCEの発現
谷本 博利
1
,
重政 和志
2
,
武内 博子
1
,
久住 一郎
1
Timothy J O'Brien
3
1麻田総合病院産婦人科
2広島大学医学部産婦人科
3アーカンソー大学医学部産婦人科
pp.331-334
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903583
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
プロテアーゼは癌の浸潤,転移に重要な役割を果たす.differential displayにより癌で過剰発現が認められたプロテアーゼ遺伝子のうち,hepsin,stratum corneum chymotriptic enzyme(SCCE)について,RT-PCR法,Northern blot法および免疫組織化学を用いて正常卵巣ならびに上皮性卵巣腫瘍における発現を検討した.hepsin, SCCEのmRNA過剰発現は境界悪性腫瘍でそれぞれ58.3%(7/12),66.7%(8/12)にみられ,悪性腫瘍ではそれぞれ84.4%(27/32),78.1%(25/32)に認められた.また,hepsin, SCCEはともに免疫染色で腫瘍細胞に陽性であった.—方,正常卵巣ではいずれの方法でもhepsinならびにSCCEはほとんど発現がみられなかった.卵巣腫瘍において高率に過剰発現が認められるこれらのセリンプロテアーゼは,腫瘍の発育,浸潤に関与すると考えられ,診断の補助マーカーあるいは治療の標的として有用である可能性が示唆された.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.