原著
卵巣癌I期の臨床的病理組織学的特徴—腫瘍被膜の破綻様式による違いについて
森川 守
1
,
田畑 光恵
1
,
山田 俊
1
,
武井 弥生
1
,
津村 宣彦
1
,
川口 勲
1
,
山口 潤
2
1北海道厚生連帯広厚生病院産婦人科
2北海道厚生連帯広厚生病院臨床病理科
pp.1425-1429
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903468
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卵巣癌I期について,その臨床的および病理組織学的特徴を検討した.当科で卵巣癌Ia期およびIc期と診断された50例を対象とし,Ic期は腫瘍被膜の破綻様式により,Ic(a)群,Ic(b)群に分けた.これら3群で,①年齢,②病理組織型,③病理組織学的分化度(grade),④腫瘍径,⑤開腹時腹水量,⑥予後,について比較したところ,①,②,③,④,⑥で群間に有意差がみられた.平均年齢はIc(a)群でIa群やIc(b)群に比べて高かった.病理組織学的には,Ia群ではムチン性嚢胞腺癌,Ic(b)群では明細胞腺癌が多く,gradeは,Ia群でよりGIが多い傾向が認められた.腫瘍径は,Ia群では他の2群に比べて大きかった.Ic(b)群ではIa群やIc(a)群より予後が悪かった.手術破綻群は,病理組織型やgradeの構成においてIa群やIc(a)群と異なる特徴があり,破綻自体の影響を知るためには,今後の検討が必要であると思われた.
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