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特集 進化する肝臓外科—高難度腹腔鏡下手術からロボット支援下手術の導入まで
解剖学的低侵襲肝切除の定型化の工夫
Laennec被膜の概念とその変遷—腹膜,被膜,鞘の体系的理解
Concept of Laennec's capsule and its evolution:systemic understanding of peritoneum, capsule, and sheath
林 省吾
1
Shogo HAYASHI
1
1東海大学医学部医学科基礎医学系生体構造機能学
キーワード:
Glisson鞘
,
Laennec被膜
,
肝静脈
Keyword:
Glisson鞘
,
Laennec被膜
,
肝静脈
pp.271-277
発行日 2023年3月20日
Published Date 2023/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214057
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【ポイント】
◆肝門部のplate systemは,肝内でGlisson鞘に,肝外で肝十二指腸間膜に連続する胆管血管鞘であると,通常説明される.腹膜前器官を支配する血管の通路は一般に間膜であり,plate systemは腹膜で構成されていると考えるのが一見自然である.
◆しかしながら,肝冠状間膜に典型的にみられるように,通常間膜は内臓表面で折れ返り,内臓内には侵入しない.一方で,肝臓,腎臓などの実質臓器は,一般に臓器固有の被膜(内臓被膜)で覆われる.
◆Laennec被膜は,この肝固有被膜を指すものと理解されるが,Laennec被膜の外科的意義は,この被膜がGlisson鞘および肝静脈の被膜(鞘)として,肝内に侵入していることにある.
◆今日,肝臓外科解剖におけるLaennec被膜は,肝臓表面の被膜という本来の意味を超えて,肝内に侵入する構造物を覆う「鞘」としてとらえ直されつつある.
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