今月の臨床 HRT—ベストテクニック
リスク症例におけるHRT
3.糖尿病
尾林 聡
1
1東京医科歯科大学産婦人科
pp.1406-1408
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903460
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糖尿病はインスリンの作用不足とエネルギー基質利用障害に基づく病態であり,これによって引き起こされる合併症(網膜症・動脈硬化・腎症・神経障害など)を特徴とする疾患である.発症には遺伝的要因が関与しており,その原因として膵におけるインスリン分泌予備能の低下が指摘されている.耐糖能異常の有病率は年齢とともに増加し,加齢に伴う耐糖能障害の増加は顕性糖尿病の発症の素因ともなる.耐糖能の変化は,まず食後血糖の上昇として現れ,30歳を過ぎると食後血糖は10年ごとに15mg/dl程度増加するといわれる一方で,空腹時血糖は年齢が増してもさほど上昇しない.加齢に伴い経口摂取したブドウ糖の吸収が遅延し,インスリンの分泌も遅延することで肝のブドウ糖産生も遅延すると考えられている.
糖尿病には,インスリン依存性糖尿病(insulin—dependent diabetes mellitus:IDDM type I)とインスリン非依存性糖尿病(non-insulin-depen—dent diabetes mellitus:NIDDM type II)の2種類があり,IDDMは膵β細胞のインスリン分泌不足が原因で,若年で発症し,肝のブドウ糖産生の増大と腸管における糖通過量の増大がみられる.
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