今月の臨床 胎児・新生児のBrain Damage
疫学と病理
1.成熟児脳性麻痺の原因
二村 真秀
1
1愛知県心身障害者コロニー中央病院新生児科
pp.1124-1126
発行日 1998年9月10日
Published Date 1998/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903388
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近年の新生児医療は,技術の著しい進歩により治療成績の向上には目をみはるものがある.しかしながら今日では,救命することはもちろんのこと,後遺症をいかに防ぐかが,われわれに与えられている最大の課題であろう.後遺症のなかでも脳性麻痺の発症率においては,最近では新生児医療の進歩にもかかわらず減少傾向のみられないことが,わが国のみならず各国において問題となっている.従来,原因としてはさまざまな病態が指摘されてきたが,成熟児(出生体重2,500g以上)においては低酸素虚血性脳症(hypoxic-ischemicencephalopathy:HIE),および極低出生体重児(出生体重1,500g未満)では脳室周囲白室軟化症(peri-ventricular leukomalacia:PVL)が主要なものとなっている.
本稿においては,成熟児に発生する脳性麻痺に焦点を当てて,発生頻度,機序,原因などを中心に概略を述べることとする.
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