今月の臨床 サイトカインと産婦人科
生殖内分泌とサイトカイン
1.卵巣過剰刺激症候群とサイトカイン
岩部 富夫
1
,
原田 省
1
,
寺川 直樹
1
1鳥取大学医学部産科婦人科
pp.1068-1069
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903372
- 有料閲覧
- 文献概要
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の病態は,毛細血管の透過性の亢進により,蛋白を多く含んだ血管内液が腹腔内に濾出し,循環血液量が減少することにある.本症の血管透過性の亢進に関する具体的な生化学的因子についてはまだ不明な点も多いが,LH,ヒスタミン,プロスタグランディンおよび卵巣性プロレニンなどが関与するという報告がある1).
OHSSは外因性または内因性のhCGにより発生・重症化することから,黄体化した顆粒膜細胞から産生される血管内皮増殖因子(VEGF)や卵胞発育ならびに黄体形成に関与するサイトカインがOHSS発症因子として最近注目されている.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.