症例
Lewis(a+b+)型を呈し,CA19-9の著明高値を伴った傍卵巣嚢胞
小口 健一
1
,
山本 律
1
,
藤野 敬史
1
,
奥山 和彦
1
,
晴山 仁志
1
,
佐川 正
1
,
牧野田 知
1
,
藤本 征一郎
1
1北海道大学医学部産科婦人科
pp.365-367
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903221
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症例は41歳,未婚,0妊.下腹部痛の主訴にて精査中,右卵巣腫瘍を指摘され当科を紹介された.超音波診断は一部に乳頭状増殖を疑う嚢胞性腫瘍であり,腫瘍マーカー検索にてCAI25 243.5U/ml, CAI9-9 84,463.0U/mlの陽性所見を認めた.右卵巣悪性腫瘍の診断で開腹術を施行した.摘出腫瘍の病理組織学診断は傍卵巣嚢胞であり,免疫組織学的染色にて腫瘍上皮にCAI9-9の局在を認めた.また術後,腫瘍マーカーは速やかに低下し正常化した.本症例のLewis血液型はきわめてまれなLewis(a+b+)型であったが,抗原基の由来からLewis(a-b+)型に近いものと考え,CAI9-9の異常高値を呈したものと解釈した.婦人科系腫瘍におけるCAI9-9の測定値を評価するにあたってはLewis式血液型との照合が望まれる.
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