連載 OBSTETRIC NEWS
分娩後の臍帯動脈血ガス分析の候補者〜分娩中の発熱(>38℃)
武久 徹
pp.354-356
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903215
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脳性麻痺は,医療訴訟の大きな原因となっており,産科医が不利な立場に立たされないように,いくつかの対策が考えられている.そのなかで,臍帯動脈血のガス分析は,脳性麻痺の原因の一つである分娩中の高度胎児低酸素症を客観的に否定する手段として,多くの施設で採用されている.反対に,医療のcost effectivenessの面から考えると,どの例に臍帯動脈血ガス分析を行うかも議論のあるところである.以上の点を考慮し,米国産婦人科学会は,臍帯動脈血ガス分析に関する指針を示している(ACOG Tech Bull,#216,November 1995)(表1).したがって,臍帯動脈血ガス分析を全例に行う必要はないが,その他の症例で臍帯動脈血ガス分析の候補者はないのだろうか?
今回,出生時正常体重児(≧2,500g)の脳性麻痺に関する研究が発表された.すでにいくつかの研究報告がされているサンフランシスコ湾沿岸の四つの郡のすべての病院の分娩(1983〜1985年;155,636分娩)が対象となった.単胎,出生時体重≧2,500g,3歳時に生存している脳性麻痺児で,分娩以外の原因と思われる例(脳奇形9例,分娩前の重症脳病変7例,先天性非細菌性感染6例,強直性痙攣を含む症候群5例,その他9例,合計36例)を除外し,原因不明の例が研究対象となった.
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