MEDICAL SCOPE
分娩時の臍帯動脈血ガス分析(1)
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.84
発行日 1993年1月25日
Published Date 1993/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900735
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出生時の新生児仮死については,いままでに多くのことが研究・議論されてきました。臨床的には,出生時に呼吸が誘発されない,いわゆる泣かない新生児ということで考えられていますが,その病態は低酸素症と代謝性アシドーシスによるものであると説明されています。皆さんもすでによく知っているように,出生時の新生児の低酸素症と代謝性アシドーシスは,分娩中の胎児仮死の延長そのものなのです。したがって,一般的には,新生児仮死の場合の低酸素症,およびそのための代謝性アシドーシスは,分娩中にすでにできあがった結果なのです。
ここに私が,「一般的には……」と書いたのは,ときにはそうでない場合もあるからなのです。たとえば,よく先天異常の新生児などにみられるのですが,分娩中はまったくといっていいほど胎児仮死の所見がない(つまり低酸素症や代謝性アシドーシスにもなっていない)のに,生まれたとたんに呼吸がうまくいかなかったり,誘発されないことがあるのです。
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