原著
母体血清中のAFP,freeβhCG,u-E3による胎児の21トリソミースクリーニングのための多施設共同研究
名取 道也
1,2
,
鈴森 薫
1,3
,
工藤 美樹
1,4
,
武田 佳彦
1,4
1母体血清マーカー研究会
2国立大蔵病院臨床研究部
3名古屋市立大学医学部産婦人科
4東京女子医科大学産婦人科
pp.893-899
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903015
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妊婦の血清中に含まれる物質をマーカーとする胎児の異常診断は,幾つかの問題点を提起している.すなわち,本検査法に対する医療側の理解度,遺伝カウンセラーの育成など本検査法にともなう妊婦へのカウンセリングシステムの整備,さらには精度の高い研究によるデータベース整備などである.そこでわれわれは母体血清マーカー研究会を組織し,共同研究を行って各マーカー値の分析と胎児の21トリソミー罹患の危険率の算出を試みた.
1,323検体を用い,AFP, freeβhCG, u-E3の3項目の分析を行った.まず妊娠週数および体重による測定値の補正式を作成し,各症例のMoM値を算出した、ついで21トリソミー胎児妊娠の危険率の算出を行った.本研究は,はじめて日本人の検体を用いて21トリソミー胎児妊娠危険率を算出し報告したものである.今回作成した21トリソミー胎児妊娠危険率を後方視的に適応した場合,陽性率は32%と高値であるが,検出率は96.6%と高い精度を示した.
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