Japanese
English
研究と報告
アルコール依存症患者における視床下部-下垂体-副腎皮質系の機能異常
Functional Changes of Hypothalamic-pituitary-adrenocortical System in Alcoholics after Abstinence
井田 能成
1
,
辻丸 秀策
1
,
向笠 浩貴
1
,
白尾 一正
1
,
中沢 洋一
1
Yoshishige IDA
1
,
Shusaku TSUJIMARU
1
,
Hirotaka MUKASA
1
,
Ishou SHIRAO
1
,
Yoichi NAKAZAWA
1
1久留米大学医学部精神神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Kurume University School of Medicine
キーワード:
Alcoholics
,
Hypothalamic-pituitary-adrenocortical system
,
Withdrawal symptoms
,
Recovery process after abstinence
Keyword:
Alcoholics
,
Hypothalamic-pituitary-adrenocortical system
,
Withdrawal symptoms
,
Recovery process after abstinence
pp.815-819
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903707
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【抄録】 16名のアルコール依存症患者を対象にして,入院2日目,7日目,14日目,28日目の午後4時の血漿ACTH値と血清cortisol値を測定し,13名の健常者の午後4時の値と比較した。各採血時刻における離脱症状の程度はCIWA-Aを用いて評価した。入院2日目にはACTHは正常値であったがcortisolは高値を呈し,cortisolの高値の程度は離脱症状の重篤度と正の相関関係を示した。離脱症状がほぼ消退した入院7日目にはACTHは低値をcortisolは正常値を示したが,入院14日目にはACTH,cortisolともに低値を示し,入院28日目にはいずれも正常値まで回復した。これらのことから,アルコール依存症患者では急性離脱期にはACTHの過剰分泌を伴わない過cortisol血症を呈するが,その発症には長期間の反復飲酒の結果生じた視床下部-下垂体-副腎皮質系の機能異常に離脱症状の出現が加わることが関係している可能性が,またそのような機能異常は断酒後4週間以内に正常化することが示唆された。
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