原著
LAC陽性を示した反復・習慣流産患者に対する治療と予後に関する検討
大口 昭英
1
,
佐竹 紳一郎
1
,
中野 隆
1
,
橋本 慎太郎
1
,
飴谷 由佳
1
,
小嶋 康夫
1
,
舟本 寛
1
,
舘野 政也
1
1富山県立中央病院産婦人科
pp.849-853
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902581
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我々は1990年3月以降,不育症に対してループスアンチコアグラント(以下LAC),抗核抗体,HLAtyping,染色体検査,夫婦間リンパ球混合培養試験などを含む総合的なスクリーニングを開始し,1994年12月現在79名の患者を取り扱ってきた.その結果,これまで14例(18%)においてLAC陽性を認め,そのうち11例においてプレドニン+少量アスピリン療法あるいはツムラ柴苓湯による治療を行った.今回,これらLAC陽性を示した患者の治療成績について検討を加えたので報告する.この14例の内訳は,①原発性不育症10例,続発性不育症4例,②初期流産のみ12例,中期流産2例,③反復流産8例,習慣流産4例,④抗核抗体陽性6例(うち2例はSLE),抗核抗体陰性8例であった.治療を施行した11例の詳細は,プレドニン+少量アスピリン療法のみ3例,柴苓湯のみ6例,柴苓湯無効のためプレドニン+少量アスピリン療法に変更1例,柴苓湯+プレドニン+少量アスピリン療法1例であった.治療成績は,対妊娠当たりでみると,総妊娠回数16回中,流産8回(50%),出生および妊娠継続例8回(50%)であり,対症例当たりでみると,治療後妊娠成立したのは9症例であり,出生および妊娠継続例6例(67%),流産3例(33%)であった.プレドニン+少量アスピリン療法のみを施行した3症例では,2例が生児を得,1例は流産に終わった.
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