原著
当院NICUにおける新生児死亡に関する諸因子の検討—判別分析・多重ロジスティックモデルを用いた危険因子解析
大口 昭英
1
,
新井 昇
1
,
飴谷 由佳
1
,
佐竹 紳一郎
1
,
小鳴 康夫
1
,
舟本 寛
1
,
中野 隆
1
,
舘野 政也
1
,
津川 圭子
2
,
林 恵三
2
,
畑崎 喜芳
2
1富山県立中央病院産婦人科
2富山県立中央病院小児科
pp.527-531
発行日 1995年4月10日
Published Date 1995/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902106
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今回,われわれは当院NICUにおける新生児死亡に関係する諸因子について検討を行い,新生児死亡に関与する危険因子の相対危険度を明らかにする目的で症例対象研究を試みた.1984年4月より1990年3月までに当院NICUに入院した,出生体重2,000g未満または在胎週数34週未満で出生した新生児182例を対象とした.説明因子として,性別,出生体重,在胎週数,SFD(仁志田らの基準により−1.5SD未満とした),RDS(Bomsel分類III型以上),脳出血,院内/院外出生,多胎,重症妊娠中毒症,初産/経産,骨盤位(経腟分娩),新生児仮死,低血糖を選択した.新生児死亡の危険因子解析は,Lemeshow S and Hosmer Jr DWの方法に従い,判別分析と多重ロジスティックモデルを用いた.13因子のstepwise判別分析で,在胎週数,脳出血,SFD,骨盤位,RDSがこの順で有意に新生児死亡への関与を示した.これらを独立変数として多重ロジスティックモデルを用いて解析を行った結果,在胎週数(p<0.001),RDS(p=0.024),脳出血(p=0.028)が新生児死亡の危険因子として有意であった.これらの危険因子の相対危険度は,在胎週数(2週の減少で):3.9, RSD:4.9,脳出血:6.7であった.在胎週数は出生体重と比較して,新生児の生死に関してより重要な因子であると考えられた.
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