今月の臨床 習慣流産をとめる
病因をめぐるControversy
7.卵膜下血腫吸引法の是非
原 量宏
1
,
柳原 敏宏
1
,
神保 利春
1
1香川医科大学母子科学
pp.700-703
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902545
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超音波診断,内分泌学,および生殖免疫学の発達により,従来は不明であった妊娠初期流産の病態が解明され,ようやくその取扱いが病態ごとに個別化される時代になってきた.初期流産の大部分は染色体異常による胎芽死亡や内分泌学的,免疫学的な異常が原因とされ,心拍動がいったん確認された場合には,たとえ出血をともなっても,流産に陥る頻度は低く数%以内とされている.しかしながら心拍動が認められた症例のうちで,出血が長期に持続する症例においては,結果的に流産に陥ることが経験され,これらの症例では子宮内にしばしばエコーフリースペースを認めることがある.ただしこのエコーフリースペースは,妊娠初期の絨毛膜と羊膜の間に存在する生理的な絨毛膜腔と,実際に卵膜と子宮壁の間に存在する卵膜下血腫とはどのように区別するのか,また血腫であった場合の.胎児の発育や予後との関係,胎盤の発育,治療法などに関しては不明な点が残されていた.本稿では,これらの点に関し超音波画像診断で得られた所見を中心に,卵膜下血腫と周郭胎盤形成の関係,胎児発育との関係,さらに血腫吸引法の是非に関して解説する.
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